「実子じゃないとダメ?」と言われて苦しくなったあなたへ|特別養子縁組をめぐる心の葛藤と向き合い
不妊治療の末に、特別養子縁組という選択肢を考え始めたとき、私たち夫婦を待っていたのは、静かな希望と、静かではない「声」でした。
今回は、養子を迎えることを考え始めた人や、今まさに悩んでいる人に向けて、周囲との葛藤・そして自分の心との向き合い方についてお届けします。
周囲との葛藤ポイント TOP10
実の親子という「当たり前」が強く根づいている社会では、無意識の言葉に心がざわつくことがあります。
- 「実子にこだわるべき」という無言のプレッシャー
特に親世代から「実の孫が見たい」と言われることに、やりきれなさを感じる人も。 - 「もう諦めたの?」という反応
不妊治療をやめる決断への否定的な声や、努力を軽んじる言葉に傷つくことも。 - 「養子って大変そう」と距離を置かれる
養子に対する漠然とした偏見や、「よく知らないからこその不安」が投影されがちです。 - 「本当の親じゃないのに」と言われる恐れ
血のつながりだけで愛情を測ろうとする価値観に、悔しさや無力感を抱くことも。 - 親戚や知人からの無遠慮な詮索
治療歴や子どもの出自などに、悪気なく踏み込まれる辛さがあります。 - 職場への説明が難しい
通院や家庭裁判所の手続きによる欠勤理由を、どこまで話すか悩む場面も。 - 「伝えるかどうか」の相談相手がいない
子どもへの伝え方・タイミングについて、家族の意見が分かれることも。 - 「周りはうまくいってるのに」と落ち込む
実子を授かった人、養子縁組がスムーズだった人と自分を比べてしまう時もあります。 - 「自分の子じゃないのに育てられるの?」と問われる
血縁重視の価値観との衝突に、戸惑いながらも自分の軸を問い直す日々。 - 応援されているようで、偏見を感じる
言葉にされなくても、態度や距離感に傷つくことがあります。
自分自身との葛藤ポイント TOP10
周囲の声と同じくらい、時にもっと厳しいのが「自分の中の声」。感情は、理屈だけでは整理できないものです。
- 「なぜ自分だけ…」という不公平感や喪失感
子どもを授かれない現実への深い悲しみと、納得できない気持ち。 - 「養子で本当に愛せるのか」という自問
理解はしていても、感情が追いつかずに揺れることも。 - 「治療を諦める=負け」と感じてしまう
長く頑張ってきた自分に対して、無力感が押し寄せる瞬間も。 - 「他人の目」が常に気になる
親戚・ママ友・ご近所の視線に、心がすり減ることもあります。 - 「本当の親じゃない」と思われる不安
将来、子どもに拒絶されたらどうしよう…という漠然とした恐れ。 - 「子どもにどう伝えるか」が常に頭にある
タイミング、言葉選び…正解がないだけに悩み続けることも。 - 「育てる資格があるのか」と自分を責めてしまう
実子を授からないことが、無意識のうちに自己否定へつながる場合も。 - 夫婦で気持ちに差がある
どちらかが治療を続けたがっている場合など、温度差に孤独を感じる。 - 「育てること」と「産むこと」の間で揺れる
親になるとは? 家族とは? と、根本的な問いに向き合う時間。 - 前向きになったと思っても突然落ち込む
妊娠報告、子どもの誕生日、ちょっとしたきっかけで心が波打つ。
「ひとりで抱えないで」
これらの葛藤に「正しい答え」はないかもしれません。でも、誰かに話してみることは、心をふっと軽くしてくれる力になります。
心理士やカウンセラーなどの専門家や当別養子縁組当事者に相談することは決して「弱さ」ではありません。
心のケアは、未来の親子関係の土台にもなる大切な一歩です。
夫婦で話し合うときに使いたい「問いかけリスト」
- 子どもを迎えるうえで、私たちが一番大切にしたいことは何?
- 養子であっても、家族としてどう愛していきたい?
- 「実子ではないこと」への不安は、お互いにどんな形で出ている?
- 子どもに「事実を伝えるとき」について、どんな考えを持っている?
- お互いに、今どんな気持ちを抱えている?
周囲に伝えるときの言葉の例
身近な人にどう伝えるかは、とても繊細な問題です。以下は一例として参考にしてください。
「色々考えたうえで、養子を迎えることを決めました。血のつながり以上に、愛情と責任を持って育てていきたいと思っています。どうか温かく見守っていただけるとうれしいです。」
「子どもを授かる道にはいろいろな形があると感じています。私たちはこの子と出会えたことに感謝しながら、家族として育っていきたいと思っています。」
この記事が、今まさに揺れているあなたの心に、少しでも寄り添えますように。
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