「じぶんで!がうれしいね」〜2歳のお着替えと育つこころ〜

お着替えができるようになっていくプロセスは
“できる” だけじゃない
2歳ごろになると、「じぶんで!」と服を脱ごうとしたり、帽子をかぶろうとしたりする姿が見られるようになります。
まだうまくはいかないけれど、「やってみよう」とする気持ちは、子どもが自分自身を育てていくうえでとても大切な一歩です。
大人にとっては当たり前の「服の着脱」も、2歳の子どもにとっては全身と心を使う大仕事。
でもそこには、「できた!」の達成感と「やってみよう!」という意欲の種がたくさん詰まっています。
2歳児のお着替えの目安
2歳ごろの子どもたちは、以下のような段階をたどって「お着替えができるようになる力」を育んでいきます。
1歳半〜2歳頃
・帽子を自分でかぶる/取る
・靴を脱ぐ(かかとを引っかけて)
・袖に手を通すときに腕を伸ばす
2歳〜2歳半頃
・ズボンやパンツを下ろす(トイレの時など)
・ボタンのはめ外しに興味をもつ
・前と後ろの区別はまだ難しいけれど、自分で着ようとする
2歳半〜3歳頃
・ズボンを自分ではこうとする
・パジャマの上下を着替えようとする
・大人の手助けがあれば、服の前後を意識できるようになる
※あくまで目安であり、発達には個人差があります。
「できた!」が自尊心を育てる
お着替えは、毎日が練習の場。
子どもは着替えを通して、手指の動きや体のバランスを育てながら、
「自分でできた!」という感覚=自己効力感を少しずつ獲得していきます。
たとえまだ全部一人でできなくても
「じぶんでやりたい」という気持ちに寄り添うことで、
子どもは「やってみるって楽しい」「自分にもできるんだ」と、自信をつけていきます。
これは、自尊心や自己肯定感の土台となる、とても大切な経験です。
おうちでできるサポートの工夫
子どもが「じぶんでやってみたい」と思えるような環境づくりや声かけの工夫を取り入れてみましょう。
◎環境の工夫
・着替えしやすい場所を決めておく(カゴやマットなど)
・着やすく、動きやすい服を選ぶ(ゴムのズボン・大きめのボタンなど)
・朝の時間に少し余裕をもつ
◎声かけの工夫
「おてて出てくるかな?」
「足がトンネル通って出てくるよー」
動かす身体を分かりやすく伝えると自分で動かそうとしやすくなります。
まだ1人で難しいところは、「ちょっとだけ手伝うね」と声をかけたり、そっと手伝い、がんばりを尊重
「自分で着替えられて、嬉しいね!」完成より、「やろうとした気持ち」を一緒に喜ぶ
おわりに
子どもにとって「じぶんで」は宝物
「じぶんでやりたい」
「うまくいかなくて泣いちゃう」
「できた!って笑う」
2歳の子どもが、着替えの中で見せてくれるそのすべてが、「育ち」の一部。
私たち大人がその過程に目を向け、あたたかく見守っていくことが、子どもの心を強くやわらかくしていきます。
できることが増えることももちろん嬉しいけれど、
「やってみたいと思える気持ち」と「やってみたねと受けとめてもらえる経験」が、
子どもにとっての本当の“宝物”です。