【0〜3歳の心の発達】「質的転換期」が教えてくれる、子どもの“見え方”が変わる瞬間

 

「できることが増える」だけじゃない。

子どもの発達には、“こころのステージが変わる瞬間”があります。

「寝返りができた」

「歩けるようになった」

そんな発達のステップは、目に見えやすく、喜びやすいものですよね。

でも――

0〜3歳の子どもたちは、

「できる/できない」

だけでは測れない、

“こころの中”の変化を経験しています。

 

それが、「質的転換期(しつてきてんかんき)」という心の節目です。

 

 

 

質的転換期ってなに?

質的転換期とは…

子どもが「ものごとの見え方・感じ方・関わり方」を根本的に変えていく節目のこと。

単に

「感情が豊かになる」

「言葉が増える」というような

“できること”の話ではなく、

 

世界の捉え方が変わる

他者との関係の持ち方が変わる

「じぶんって何?」という意識が芽生える

 

こうした**“こころの質”が変わる節目**こそが、質的転換期です。

 

その道すじは、いくつかの「質的転換期」を経て、段階的に深まっていきます。

 

【年齢別】0〜3歳における主な「質的転換期」

 

9〜10ヶ月頃

「ママは自分とは別の存在」と気づく

人の表情を読むようになる

指差し

視線を追う「共同注意」が始まる

ママがいないと泣く=分離不安の始まり

 

他者を「心ある存在」として認識し始める

→ 愛着の土台が育ち始める大切な時期です。

 

1歳半〜2歳頃

「じぶん」が芽生える

「イヤ!」

「じぶんで!」

が始まる 自分の意思を通そうとする《イヤイヤ期》

選ぶ・決める・反発するが活発に

 

「じぶんって何?」という自己の確立の始まり

→ 自己主張は、こころが成長している証です。

 

2歳半〜3歳頃

「心の中」が広がり始める

ごっこ遊びがはじまる

感情のコントロールが少しずつできる

相手の気持ちに“気づく”姿が見られるように

 

自分の内面だけでなく、他者の心にも目を向けられるように

→ 社会性の土台がつくられる時期です。

 

「困った行動」は、“こころの成長”のサインかもしれない

 

たとえば…

急に「後追い」がはじまった

「イヤ!」ばかりで大変

ごっこ遊びが好きになってきた

 

それらは、「問題行動」ではなく、

**次の発達段階への扉が開こうとしている“ゆらぎ”**かもしれません。

 

【質的転換期】は、

→「次の心の発達ステージへの扉が開く節目」

→「“見え方・感じ方・関わり方”が変わるタイミング」

 

【質的転換期と転換期の“あいだ】は、

→その新しい見え方・関わり方を実生活で試しながら育てていく「実践・練習の時間」

 

子どもの心の成長は、

「質的転換期 → 試行錯誤の時期 → 次の質的転換期」

という螺旋(らせん)状のプロセスをたどりながら、

転換期と転換期の“あいだ”で、

揺れながら、自分なりの世界の見方を育て、“こころ”を確かに育んでいくのです。

 

この揺れている試行錯誤の時期が、ママたちにとっては

「大変になった」

「どう対応したらいいか分からない」

不安や悩みに繋がりやすいのかもしれません。

︎ そんな時に持ちたい視点が

✔困った行動も「次のステップへの揺れ」として捉えられる

✔︎ 子どもの見ている世界がどう変化しているかが見えてくる

✔︎ 関わり方のヒントになる(例:今は試す時期?支えが必要?)

この考え方は、0〜3歳だけでなく、その後の心の発達(4歳以降、思春期、大人)にもずっとつながっています。

 

 

【まとめ】心の発達とは、「世界の見え方」が変わっていくこと

 

Step1

時期:9〜10ヶ月

質的変化:他者との心のつながりに気づく

キーワード:愛着、共同注意、指さし

 

Step2

時期:1歳半〜2歳

質的変化:「じぶんで!」の始まり

キーワード:自己、主張、イヤイヤ

 

Step3

時期:2歳半〜3歳

質的変化:心の内面が育ち始める

キーワード:ごっこ遊び、共感、感情調整

 

子どもの「今」は、次の質的転換期への準備かもしれません。

 

だからこそ――

 

「なぜこんな行動をするんだろう?」と困った時こそ、

 

**「どんな“こころの成長”が始まっているのかな?」**というまなざしで、

 

子どもを見つめていけたらいいですね。