子どもが「思い通りにならない」と悩むあなたへ〜子育てのストレスと向き合う、やさしい視点〜
\特集連載スタート/
「子どもが思い通りにならない…」
子育ての中で、そんな気持ちになることはありませんか?
この特集では、「うまくいかない」と感じる子育ての背景にあるものを、
社会の変化や親としての価値観の変遷に目を向けながら、やさしく紐解いていきます。
第1回は、“思い通り”という言葉が生まれた社会的背景と、私たちの心のクセについて。
子どもを変えようとする前に、まずは自分の心の動きに気づくことから始めてみませんか?
昔は「思い通りにならない」が当たり前だった
少し昔、私たちの祖父母やそのまた前の世代は、
自然とともに暮らす生活をしていました。
農業や漁業などの第一次産業の中で生きていた人たちにとって、
自然の流れに逆らうことはできません。
どんなに大切に育てた苗でも、
台風がくれば倒れるし、獲れると思っていた魚がいない日もある。
そんな「思い通りにならない」ことが当たり前の日常の中で、
人は「待つこと」「うまくいかないこと」に折り合いをつけながら、
暮らしと子育てをしていたのです。
私たちは「思い通り」を求める社会で育ってきた
一方で、私たちが育ってきたのは、
「思い通りにするためには?」と考え大きく進化してきた時代。
便利で効率のよいことが良しとされる社会。
- 家事は、便利で効率的な家電機器がたすけてくれる
- 暑くても、寒くてもボタン1つで適温になる
- 行きたいところにあっという間に行ける
- 連絡はすぐに取れて、待ち合わせで待ちぼうけなんてことはない
- 注文すれば翌日に届く
- スケジュール通りに進むことが評価される
- 失敗せずに成果を出すことが求められる
そんな日常の中で、知らず知らずのうちに
「思い通りにいくことが当たり前」だと思ってしまうようになったのかもしれません。
だから、思い通りにならないことに出会うと、
ついイライラしたり、不安になったりしてしまう。
私自身も、保育士になりたての頃、
子どもがこちらの思うように動かないことにストレスを感じていました。
研修で「ああ、私も“現代の価値観”の中で育ってきたんだな」と気づいたあの日のことは、今も忘れられません。
正解を探す前に「自分の気持ち」を見つめてみよう
子育てがしんどく感じるとき、
つい「どうすれば言うことを聞いてくれるか?」
「どんな声かけが正解なんだろう?」と考えてしまいがちです。
でも実はその前に、とても大切なことがあります。
それは、
**「私が、何にストレスを感じているのか?」**を知ること。
- 泣き声がつらい
- 時間通りに進まないのがイライラする
- 他の子と比べてしまう
その気持ちは、あなたが悪いわけじゃありません。
そう感じるような社会の中で、私たちは育ってきたのです。
自分を責めるのではなく、
「そう感じる自分がいたんだな」と、ただ受け止めてみる。
そこから、子どもとへのまなざしも関わり方も、少しずつ変わっていきます。
昔の知恵と、今の学びをつなげていこう
昔は、子育てを“学ぶ”必要なんて、なかったのかもしれません。
地域の中で自然と伝えられてきた知恵があったから。
でも今は、核家族化が進み、頼れる人も少なく、
わざわざ “学ばないといけない時代” になりました。
それは、決して後退ではありません。
むしろ、新しい時代の子育てのはじまり です。
世界で初めて幼稚園をつくったフレーベルさんは、
子どもが学ぶ場所と同時に、親が子どもとの関わりを学ぶ場所をつくっていたとも言われています。
子どもと向き合いながら、自分自身を見つめ、学び直していく。
それは、とても尊く、あたたかい営み
子どもが思い通りにならないとき、
イライラや不安の奥にあるのは、
「ちゃんと育てなきゃ」「早くできるようにさせなきゃ」という、
私たち自身の“焦り”なのかもしれません。
でもその“焦り”は、私たちが育ってきた社会が、そう感じるようにできていたから。
次回は、そんな私たちのルーツをたどって、
「子育ては“待つもの”だった時代」に目を向けてみたいと思います。
立ち止まって深呼吸したくなるような、そんな時間になりますように。
➤第2回「子育ては「待つもの」だった時代を知ると、心がゆるむ」~思い通りじゃないのは、当たり前だったんだ~
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